【原料ブドウだよね??】ワインの世界の広さを全身で感じる1000円台のチリワイン【テラノブレ・カルメネール】
ワインの沼からごきげんよう、ユキシバです。
みなさんにとってワインってどんな味がするお酒でしょう?
このブログでは度々言っておりますが、ワインは葡萄を原料とするお酒です。
しかし、ワインは単にぶどうジュースにアルコールを入れただけのお酒ではなく、酵母と反応したりと、色々と複雑な過程を経て生まれます。
そのため、ブドウから出来ているはずなのに、ブドウ以外の色々な味がするんです。
寧ろ個人的にはワインから葡萄の味がする方が珍しいくらいに思ってます笑
イチゴ、チェリー、ラズベリー、林檎、洋梨、ブルーベリー、カシス、プルーン…
ソムリエさんなどがワインの味わいを表現するときには、これらのような果物の名前がよく登場します。
この時点で既にブドウの面影ほぼゼロですが、ワインの味わいにはもっと奥の次元がありまして…
中には「ブドウから出来てるのに何でそんな味になるん???」なものから、そもそも食べ物じゃないものもあるんですね…。
今回はそんな、ブドウから出来ているとは思えない不思議な味わいがするワインを紹介します。
さて先に謝らなければいけないのですが、
今回紹介するワインは多分初心者向けではありませんm(_ _)m
初心者にはベリー系の味がはっきり感じられる、わかりやすいワインをおすすめしたいのですが、今回のワインはそういうタイプとは違い、言ってみれば本格的な味がします。
とはいっても、本格的な味わいのワインほど値段も上がっていくなかで、2000円を切る値段で本格的な味わいを体験できるのは魅力。
気になった方は是非チャレンジしてみてください!
本格派ワインへの入口!テラノブレ・カルメネール
テラノブレ・カルメネール2018グランレゼルヴァ
生産国:チリ
ブドウ品種:カルメネール
味わい:ミディアムボディ
アルコール度数:14%
価格:約1700円
チリといえば、日本ではコスパワイン産地の筆頭として知られていますね。
チリは陽射しがたっぷり注ぐため葡萄が熟しやすいこともあり、個人的にはチリといえば果実味たっぷり系ワインが多いイメージがありました。
それだけに、テラノブレのようなワインがあるのは意外でした。
今回の葡萄はカルメネール。
フランス生まれだけどフランスの風土が合わず、チリに渡ってから大成した葡萄です。
また、カルメネールは国際的に栽培されている葡萄のひとつ・メルローと味わいが似ていることから、長いことメルローと間違えられていたのだそう。
メルローといえば、豊満な果実味があって渋味は穏やか。そしてピーマンなどの青野菜や土のような風味もするのが特徴。
グラマラスで上品、それでいて庶民派なところがあって、自然に囲まれるのが好きな田舎美人みたいなイメージです。
メルローからピーマンや土を感じ取れたことはありませんが、メルローと似ているカルメネールだったらそんな味もするかも?などと期待が膨らみます。
それではグラスに注いで…
暗~い紅色のような、いかにも濃厚そうな色です。
…!!
あ…!!
確かにピーマンの香りする!!笑
この青っぽさと苦そうな香り、確かにピーマンだ…!
プルーンやベリーのように濃い甘で美味しそうな香りもしましたが、脇役に感じました。
抜栓してすぐだったからかもしれませんね。
これは…確かに初心者にとっては親しみのある香りではないですね…
これこそまさに「大人の香り」といったところでしょうか笑
…皆さんはもう大人なんだから、まさかピーマン食べれないなんてことないですよね???(煽り)
ピーマンが食べれない人はスープカレーに入れて食べてみてくださいな!大嫌いなあの苦味が旨味を引き立てるアクセントになって世界変わりますよ(経験者は語る)
それでは一口…
…香りを嗅いだ時のインパクトを引きずっているせいもあるかもしれませんが、ピーマンの要素を強めに感じますね。
ただ、もう一口、さらにもう一口…と飲んでいるうちにだんだんこの子の味わいが見えてきました。
まずはピーマンのような青野菜を思わせるほのかな苦味。
そして乾燥or砂糖漬けにしたプラムやブルーベリーのような甘酸っぱさ。
果実味と一口に言ってもニュアンスは色々とあります。
なので、フルーツの名前+フルーツの加工方法(生、ジャム、砂糖漬けなど)を組み合わせることで、細かいニュアンスの違いを表現しますよ!
テラノブレから感じた果実味は、甘味も感じるんだけど、ジャムのようにトロトロなイメージとは違い、それよりは軽やかさと酸味が残っているというか、果実が原形をとどめてそうな感じがします(?)
更に味わっていると、だんだんと枯れ葉や土の風味も出てきました。
と言われても、飲み物から土の味を感じるって…どんな感じかなかなかピンときませんよね。
そのものずばり土を食べたような味、というわけでもありません。そもそも僕は土を食べたことないので、実際どんな味かはわかりませんよね。
あと、当たり前ですがワインの中に土が混じっているわけでもありません笑
結論を言うと、
「そのものずばりではないんだけど、土や枯れ葉を思い出すような味」といった感じです。
前回の記事で「人は新しい味や香りを経験した時、過去に同じような味・香りを経験したときの記憶を思い出している」と説明しました。
参考↓
つまりワインに土っぽい風味を感じた時、人は過去に土に触れたり、香りを嗅いだりした思い出を引き出しているのです。
だから感じ方は人によって様々。
「子供の時に遊んだ土の匂い」という人もいれば、「田舎の実家を思い出す匂い」という人もいるでしょう。
僕がテラノブレを飲んだ時は、秋の森の中を散歩した時を思い出しました。
空気が冷えてきてわずかに湿った土と枯れ葉の匂いをたっぷり吸いながら、自然だけに集中してリフレッシュするひと時。
ちなみにこういう香りや風味をソムリエの世界では「腐葉土」と表現します。
腐葉土の風味がするワインがあるということは知識の上では知っていましたが、実際に体験するのはテラノブレが初めてでした。
土や枯れ葉を思わせるような風味は、長期熟成したワインによく見られ、「熟成感がある」なんて言ったりもします。
なんかもう…得も言われぬ唯一無二な味わいなんですね(急な語彙力低下)
10年20年熟成してるとか聞いたらもうそれだけで崇め奉りたくなりますよね(ワイン沼仕草)
ただテラノブレは2018年ヴィンテージ。まだまだ若いのに熟成ワインのような落ち着きと貫禄を感じる味わいがするなんて不思議です…!
人間でもたまにいますよね、歳の割に随分と大人びてて、若者らしからぬ落ち着きがある人。テラノブレはそんなイメージに近いかもしれませんね。
きゃぴきゃぴせず、年齢の割に渋い趣味を持ってる子。それゆえに少し周りから浮きがちなんだけど、独特な存在感を持っている。誰にも染まらない軸の太さがあるけど、それはそれとしてどんな相手も否定しない落ち着きのある子…
…といったイメージだと思います!
(※わけのわからないことを言っているようですが、ワインの味を人で例える練習中につきあしからず…m(_ _)m)
また、熟成感の得られるワインは、若々しいワインに比べて値段が張る傾向があるなかで、テラノブレは約1700円…!
この価格帯で熟成ワインのような奥深さを体験できるワインがあるのはありがたいです。
「土や枯れ葉なんて飲みづらいだけでは…?」と感じがするかもしれません。
確かに初心者にとっては少し勇気がいると思いますし、現に僕も初めて飲みましたが、意外と飲みやすいです。
苦味や果実味、腐葉土の風味…色々な要素がありますが、別個に代わる代わる主張してくる雑多な味とは一線を画します。
それぞれが強く主張せず、丸みを帯びながら溶け合っているおかげで、不思議とスルスル飲み進められるのです。
キャッチ―ではないのになぜかスイスイ飲めてしまう、テラノブレはそんな不思議な子でした。
僕自身はフルーティなワインや濃密な甘味を湛えたワインが好きでよく飲むのですが、テラノブレを飲んで、またぐんとワインの世界が広く感じました。
今までと違う味わいのワインに出会うと、まるでどこまでも続く平原に寝っ転がったような気分になります。
ワインの世界がいかに広くて深いかが心の奥まで染みて、自分が抱えている悩みがいかにもちっぽけに感じられるんですね。
…なんてそれっぽいこと言ってますが、千円台で本格派の熟成ワインに近い味わいを楽しめる、とても優秀な子だと思います!
この価格帯によくある”初心者におすすめ!”な、いわゆる”わかりやすい味わい”のワインとは一味違う、ワインのより深い世界を一度冒険してみてください!
(尚、帰って来れる保証はしません♪私はまだ出られてません☆)
今回飲んだテラノブレ・カルメネールは「動画版・おいでよ!ワインの沼」でも紹介しています。
【ワイン紹介④】テラノブレ カルメネール2018グランレゼルヴァ【初心者】 - ニコニコ動画
【ワイン紹介④】テラノブレ カルメネール2018グランレゼヴァ【初心者】 - YouTube
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ぜひ飲み仲間になってくださいm(_ _)m
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回お会いするまでよいワインライフを!