【インコグニートよ永遠に】”もう二度と手に入らないワイン"・インコグニートをついに抜栓した話
ワインの沼からごきげんよう、ユキシバです。
この値段でこんなに美味いの!?
この生産者ガチで推せる!
そんな風に、特別気に入ったワインが出来たら、次のヴィンテージが出たらまた買お!と思うのが人情というものです。
思いがけず出会えた超コスパワイン。
やっと出会えた理想のワイン。
それらがもう二度と手に入らなくなるとしたら?
ワインとの今生の別れ「終売」
終売。
ワインの生産そのものが完全に終了すること。
僕自身はというと同じラベルをリピートするのはかなり稀ですが、お気に入りのワインが終売してしまったらやっぱり寂しいです。
ワインも有名・無名を問わず、様々な理由で生産終了します。
「この経験をもとに、新しいワインに挑戦したい!」といった前向きな理由の時もありますが、残念ながらそうでない理由の場合もきっと少なくないのでしょう。
結論、売れなければ生産を続けることは出来ません。
しかしながら、売れない=美味しくない ではありません。
ワインにしろ音楽にしろ、またはそれ以外の分野でも同じ。
モノが良ければ売れるわけではありません。
商売というのはそれだけ複雑で、時に理不尽ということですね。
推しワイナリーのワインが終売してしまった…!
なんと、僕の推しワイナリー・マイケル・デイヴィッド・ワイナリーのワインが一つ終売してしまいました。
それがこちら。
インコグニート 2017
産地:アメリカ・カリフォルニア・ローダイ
生産者:マイケル・デイヴィッド・ワイナリー
ブドウ品種:シラー21%、カリニャン18%、サンソー18%、タナ13%、
ソウサン11%、カベルネ・フラン10%、モナストレル6%、
プティ・シラー3%
価格:(買った当時の単品価格)3850円
マイケル・デイヴィッド・ワイナリーは当ブログの推しワイナリー紹介シリーズで取り上げたことがあります。
粋で男前な生産者について知りたい方はこちら↓
僕が初めてマイケル・デイヴィッド・ワイナリーに出逢い、一目惚れし、初見で迷わずセット買いしました。23000円くらいのところ18000円。
迷わずポチリました。
財布「少しは迷え(´へωへ`+)」
買った当時はセットの中でも他のワインの方が目当てだったというか、インコグニートについてはより楽しみなものを先に飲んだ後で「そのうち飲もー☆」ぐらいの気持ちで置いてありました。
そうしてしばらくたったある日、たまたまインコグニートの商品ページを見たら、「現地生産終了」「取り扱いを終了しました」の文字。
「セットに付いてきたワイン」が一瞬にして激レアアイテムに…
僕の中で「そのうち飲もー☆」だったのが「いつ飲もう…!!」に。
マイケル・デイヴィッドならもしかしたらコストコに売ってるかも!?とも思いましたが、コストコのHPには掲載なし。
これは困った…開けるに開けられん…!
とはいっても多分いつまでもは熟成させておけない気がするし、どんなタイミングで飲もう…!
「正体を隠して」インコグニート
インコグニートとは「正体を隠して」という意味。
その名の通り、8種類ものブドウが使われ、各々のブドウはその正体を隠すかのようにその主張を潜めています。
ショップのソムリエさん曰く、8種類も使われているのに雑多な感じにならず、見事にまとまっているのだそう。
目の前にある一本。これを開けたらインコグニートはもう二度と手に入りません。
なんてことを言っても、いつかは飲まねばなりません。
どんな希少なワインでも、やはりワインは飲んでこそです。
いざ抜栓。
第一印象は「いかにも濃厚そうだな~~」という印象です。
色も勿論ですが、熟した赤系果実が濃縮したような厚みのある香り。
マイケル・デイヴィッドのワインは基本的に第一印象では凄く濃厚で、ものによってはドカンとした香りでこちらをどやしてくることもあります。
鰻とトンカツとタレ漬けジンギスカンという訳の分からんディナーと共に飲んでみました。
改めてみるとほんとにわけわからん…
ちなみにインコグニートにトンカツ(ソース多め)というのは、元々インコグニートを扱っていたショップ・フィラディスの店員さんのおすすめです。
鰻とジンギスカンに関しては…完全なるノリです←
財布「ちょっと表出ろや( +´艸`)」
さてさて分不相応に豪華なキャストが揃ったところでインコグニートをひと口。
ここで思い出してほしいのがブドウの使用比率。
シラー21%、カリニャン18%、サンソー18%、タナ13%、ソウサン11%、
カベルネ・フラン10%、モナストレル6%、プティ・シラー3%…
こんなに色んなブドウを使ってるにもかかわらず、まるで1~2種類のブドウで作ったのかと思うくらい一つの方向を向いているのです…!
僕個人としては「雑多な味」というのを経験したことが無いので何ともなのですが、これだけ色んなブドウがそれぞれに自分の個性を主張してきたら、流石にしっちゃかめっちゃかな味になりそうですよね。
しかしインコグニートでは各品種が好き勝手に主張することはなく、寧ろ協調して一つの味わいを作り上げているように感じました。
逆に言うと飲んだだけでは何の品種が使われているか当てるのは難しそうですね。
よく熟した色々な赤系果実を煮詰めたような味わいが際立ち、タンニンは控え目ながらもワインに重みを加えてくれます。
最初口に入った時の印象ではどっしりと濃い感じがしたのが、喉に流れていく頃には不思議と軽やか。
時間が経つと時折出汁のような風味も。
果実味・渋味・重み、どの面にも尖った感じがなく、綺麗にまとまっています。
ちなみにこの日のディナーとのペアリングですが、トンカツ(ソース多め)との相性は良く、鰻の蒲焼きとも案外合ってくれました🐡
インコグニートよ永遠に
いかがでしたでしょうか?
ある時突然訪れる「終売」。毎年苦労して作り、歴史を積んできたワインが今年でもう最後というのは、やっぱり複雑な思いです。
けれど、終売するラベルだろうがそうでなかろうが、極端な話ワインは同じラベル、同じヴィンテージだったとしても全く同じではないし、本来は1本1本一期一会。
それにマイケル・デイヴィッドはフィラディスのインタビューでこう言ってます。
「ワインは人を楽しませるためのものだからね!」と。
希少なワインなら開けるのに勇気が要るし、しばしばワインは投機の対象になります。
が、やっぱりワインを買うからには飲んでこそ。
ありがとう、インコグニート。君のことは忘れない…!
インコグニートはもう終売してしまいましたが、マイケル・デイヴィッド・ワイナリーのワインは、手に取ってから喉元を過ぎるまでエンタメ性満点です。
ラベルの奇抜さに目が行きますが、それぞれのシリーズに名前の由来や、作り手の「こんなワインを目指してみた!」というテーマ性があります。
コンセプチュアルな作品のようで、飲めるアートとでも言うべきか、とにかく五感で楽しめるワインだと思います🍷
僕のスタンスは「生きている間になるべく色んなワインを知りたい」なので、同じワインをリピートしたり、同じワイナリーのものをコンプリートする勢いで飲み比べすることは稀です。
そんな僕が日本で買えるものはほぼコンプリートし、アメリカ国内でしか流通しないワインを買う方法を未だに模索しているのがマイケル・デイヴィッド・ワイナリー。
生産者の男気からワインの魅力まで語った記事がありますので、ついでにこちらもご覧ください↓
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回お会いするまで、良いワインライフを!