【ワインを100倍楽しむ】ワインの香りを味わい尽くす
ワインの沼からごきげんよう、ユキシバです。
突然ですが、ワインの魅力とは何でしょう?
飲み物なので、当然味わいでしょうか。
味わい一つとっても、力強い渋味や甘やかな果実味、香ばしい苦味など、あげればキリがありませんね。
しかし、味わいよりも先に訪れる魅惑。
そう。今回語ってみるのは香りです。
食事において、香りは空腹の次に大きなスパイスといえるでしょう。
目の前の料理から美味しそうな匂いが立ち上っていると、それだけでも食事の楽しさが倍増するもの。
また、ドリアンのように「臭いけど味は美味い」と言われるようなものもありますが、正直言って臭いとそれだけで味も台無しだと思います。
嗅覚から受ける影響は僕等が思っている以上に大きく、一説によれば、「あ、この匂いがするな」と認識できない程度のわずかな匂いでさえ、人間の行動に影響しているのだとか。
しかしながら嗅覚・匂いは、科学で解明できていないことの多い、謎多き世界なのだそうです。
さて、ワインにおいても香りはとても大切だと思います。
グラスに注いで、その美しい色を愛でる。
その美しいお姿をもっと近くで愛でたい!と、そのままグラスの飲み口に顔を近づける。
上がってくるその香りときたらもう!!←
香りはいわばワインの第一印象。人で例えると初顔合わせの瞬間に似ています。
初対面の時の印象って、その後の相手へのイメージに大きく影響しますよね。
ワインもそれと似ていて、どんな香りがしたかによって、その後のワインの味わいの感じ方やワイン全体の印象・満足度まで変わってきます。
しかしながら、あなたはワインの香りをどのくらい感じ取れていますか?
あなたがソムリエやノムリエだったら別かもしれませんが、初心者だと、
「なんとなくベリーっぽい香り…?」
「なんとなく酸っぱそうな香り?」
「甘そうな感じはするけど…なんか変な甘い感じ?」
「うーん…よくわからんけどアルコールの匂いしかわからん」
となりがちではないでしょうか?
ワインの香りってどこか複雑で、わかるようでわからない。
で、「まぁワインってこんなもんか」
となる。
それでは勿体ない。
ワインの香りをもっと詳しく感じられるようになれば、ワインをもっと楽しめるし、飲めるワインだってもっともっと増えるかもしれない。
食事の楽しみ方や余暇の過ごし方も変わるかもしれないし、付き合う人間関係すら変わるかもしれません。
それって最早ワインで人生が変わるといっても大げさではないですよね。
けど、実際どうしたらワインの香りがわかるようになるのでしょうか?
ワインの香りを楽しむためには?
結論から言うと、ワインの香りを楽しむためには、色んな香りを覚えておくことです。
人は新しい匂いを嗅ぐ時、過去に似たような匂いを嗅いだ時の記憶を引っ張り出すことで認識しています。
例えば「このワインからは薔薇の香りがするなぁ」と感じる時、その人は過去に生の薔薇や薔薇の香水などを嗅いだ時の記憶を思い出しているのです。
逆に言うと、記憶に無い匂いはうまく認識できません。
薔薇の匂いを嗅いだことがない人には、薔薇の香りがするワインを飲んでも、薔薇の香りを上手く感じれないことになります。
薔薇に限らず、ワインからは色んな香りがします。
それらの匂いを実際に嗅いで覚えるのがベストではありますが、とりあえず「ワインからすることがある香り」を知識として色々と覚えておくだけでも、想像で補ったりできるので感じ方がだいぶ変わると思います!
というわけで。
今回は、「ワインからすることがある香り」を、定番メニューとマニア向け(?)に分けて、なるべくたくさんまとめてみました!
定番の香り
まずは大体のワインから感じられる定番の香りからどんどん紹介していきます🍷
初心者向けのワイン程この辺の香りを感じやすいので、是非意識しながら味わってみてください!
①ベリー系
そりゃまぁブドウから出来ているお酒なので、まぁね…
ベリー系は赤系果実と黒系果実に大別できます。
色んなベリーのニュアンスが感じられる時、あるいは具体的につかめない時はざっくりと「赤(黒)系ベリーの香り」と言ったりします。
また、特にベリー系に関しては、生、完熟、コンポート、ジャム、ドライフルーツなどと言って甘やかさ・濃密さ具合を表現します。
「完熟ベリーを煮詰めたジャム」というフレーズを聞くとワイン沼の住人はよだれを垂らして喜びます(?)
②柑橘系
柑橘系は白ワインから感じることが多いですね。
赤ワインの比べてもすっきりしていて親しみやすい感じがします。好みにもよりますが、初心者にとっては飲みやすいものが多いように思います。
とはいえ僕の白ワインはまだまだ勉強し始めたばかり。経験値が地を這うように低いので、赤ワイン程色々解説できません。
もっと詳しいことを語れるようにどんどん飲んでいかねば(酒クズ理論)
③そのほかフルーツ
ベリー、柑橘以外にも、ワインからは色んなフルーツの香りがします。
例えば暖かい地域でよく熟したワインならマンゴーやパイナップルのような甘いトロピカルフルーツ。
涼しい地域でゆっくり熟したワインなら青林檎や洋梨。
ただ、地域によらずとも製法や品種による個性次第で色々な香りがします。
とりあえず「こんなフルーツの香りもすることがあるんだなぁ」と覚えておくことで、いざワインを香った時に「あ!!バナナがある!!」となるかもしれませんよ!笑
③花
「ベリーっぽいけどなんかちょっと違う感じの香り」の「ちょっと違う感じ」の部分、
「甘そうだけどなんか変な甘い感じ」の「変な」の部分にあたるのが花の香りではないかと思います。
そもそもリアルの花ってちょっと変わった香りしますよね笑
花の可愛らしい部分のほかに、なんかもったりしたような香りを含んでいるような。
ベリーのわかりやすい甘やかさや酸味に複雑さを加えている、そんな香りです。
④バニラ
恐らくフルーツ系でない香りの中で、一番感じ取りやすいのがバニラの香り。
そのくらい特徴的な香りです。
バニラの香りの源はバニリンという成分で、これは樽の材料である木の中に多く含まれています。
そのため、樽熟成(特に新品で小さい樽)をしたワインにはバニラの香りが付きやすいのです。
樽由来なのでそのまま樽香と言われることもありますが、樽熟成をしていないワインからもバニラ香を感じることはあります。
というのも近年の研究によれば、バニリンは葡萄の皮や種、茎にも含まれているようなんですね。
あの時「あ!!バニラの香りがする!!…あれ?でもこれ樽熟成してないよな…気のせいか…??」となった僕は間違ってなかったんだ…!←
⑤蜜
僕が大大大好きな香りです(小並感)
濃縮されたベリーの香りも良いですが、蜜の香りが感じられると「今回の子はいつもと一味違う!」と感じますね笑
蜜と一口に言っても果物の蜜、花の蜜、蜂蜜などがあります。
程よく熟した若いリースリングから感じる蜜林檎や花の蜜の香りも趣深いし、アイスワインからする蜂蜜の香りなんてもう骨抜きですよ…
慣れてないとびびる香り
フルーツで出来たお酒からフルーツの香りがするのは、まだ違和感ないでしょう。
ただしワインの香りはここで終わりではありません。
初心者には「???」なものも少なくないでしょうが、逆にこれから紹介する香りがわかる・魅力に感じるようになると、いよいよ本格的にワインファンといえるでしょう🍷
ワイン沼はいいぞ~~(やめれ)
①スパイス
改めて調べてみたら意外とたくさんあって驚きました笑
ちなみにコリアンダーは個人的に蜜柑・オレンジの香りに似ていると思います。
僕はたまに「赤ワインなのに蜜柑みたいな香りがする!なんで!?不思議!」と感じることがありますが、多分ワインプロ的にはコリアンダーの香りって言った方が通じやすいんだろうなぁ笑
②コーヒー、ダークチョコ、トースト、バター
香ばしかったり、まろやかだったり、フルーツや花、蜜ともまた違った独特の旨い香り。
何故これらをまとめたかと言うと、実はこれらの香り、バニラ香が熟成を経ることで変化して生まれる香りらしいのです。
樽熟成を終えて瓶詰めしてから比較的すぐのワインだとバニラに、瓶詰めしてから更に時間が経つ(瓶熟成する)と、その間に色んな香り成分と混ざり合って、結果これらの香りになるそうです。
③青野菜
ピーマンや白ネギのような、野菜特有の爽やかな苦味。大人でも好き嫌いが分かれるところですよね。
ソーヴィニヨンブランから作られる白ワインからは、白ネギのようなキリッ!(`・ω・´)とした香りが感じられやすいそうです。
ちなみに僕はなんとソーヴィニヨンブランを飲んだことがありません…ソーヴィニヨンブラン好きがいましたら、おすすめを教えてください!!(大事!!)
一方、メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンなどでは、熟度が低いとピーマンの香りを生じやすいのだとか。
生産者によっては、収穫直前で大雨に降られてブドウが台無しになるのを防ぐため、そこそこ熟した段階で収穫してしまう場合もあるようです。
作物の栽培とは非常にシビアで、時に残酷なのです。
生産者も悩んで神経をとがらせながら、手間暇かけて育てたブドウ(資産)がパーになるリスクと戦ってるのだと思うと、責められないですね。
それに、いかに熟度の低さが原因で生じる香りといっても、最終的には飲み手の好み次第です。
ピーマンの香り=質の悪いワインというのはちょっと違うかな、と個人的には思います!
④肉
ブドウが何をどう頑張ったら肉の香りになるんだ???という感じですよね。
正直今こうして書いている間も「肉の香りなんてあるか…???」となっています←
ですが、そういえば今までも「旨味の香り」には頻繁に出会っています。
肉料理の香りを嗅いだ時のような、唾液腺を刺激する旨味の香り。
肉料理そのものの香りがするわけではないからわからなかったけど、なんとなく肉や脂身のボリューム感のある旨味を連想する香りが、ここでいう肉の香りなのかな?と思います。
⑤皮(レザー・なめし皮)
ここでお知らせ。これより先、食べ物は出てきません笑
皮の香りは主に熟成を重ね、鮮やかな赤から褐色に変わってきた赤ワインから香ります。
実際に経験したことがあって、本当にレザー製品のような香りがします。最初はやっぱりびっくりしました笑
完全ノー知識だとびびって身構えて終わりかもしれませんが、僕の場合は「ワインから皮の香りがすることがある」という知識があったので、びびるというより「ほんとにそんなワインあるんだ!!」という感動の方が大きかったです。
⑥石油製品(ぺトロール香)
皆さん石油を飲んだことはありますか??
僕はあります(しょうもない嘘)
飲んだことは無くても、きっと皆さんあちこちで匂いは嗅いだことがあるはずです。
例えば新品のタイヤ、風船、ゴム、アロマオイル。
初めて時は「これ…ほんとに大丈夫か…???」とさえ思ってしまいました。
が、勿論ワイン不良なんかではありません。寧ろ太陽をたっぷり浴びてよく熟し、よく凝縮した白ブドウの証です。
白ブドウが直射日光から身を守るために作るカルテノイドが醸造中に変化することで発生する香りで、たくさん日を浴びた白ブドウ程、この香りを発しやすくなります。
もしこの香りに出会ったら「あぁ、発育の良きリースリングたんギュフフフ」が正しいリアクションです(違うそうじゃない)
⑦腐葉土
腐葉土とは簡単に言うと枯れ葉の混じった土。
庭いじりをする人なら馴染みがあるかもしれませんね。
土のにおいがする飲み物って皆どう思います……?
まぁ腐葉土を食べることは無いでしょうが、腐葉土の匂いは個人的には結構好きです。
秋ごろの森に行った時にたっぷりこの香りを吸い込んで、とても癒されています🌲
熟成を重ねた赤ワイン、もしくはメルローを使ったワインからすることが多い香りです。
⑧煙草・葉巻
さて、ここから先は僕も経験したことがありません!!笑
そもそも僕は嫌煙家なんだ…🚭
ここで注意しておきたいのが、ワインからする「煙草の香り」とは、煙草にする前の葉っぱの状態の時にする香りを指しています。
煙草をふかした時の煙の臭いではありません。
尚更ピンと来なくなりましたね!!笑
調べてみると、タバコの葉は収穫して乾燥させ、そこから更に1年近く熟成・発酵させるのだそうです。
よく熟成したワインから香るらしいです。煙草の煙は嫌いですが、ワインからする煙草の香りはいつか経験してみたいですね🍷
⑨血液
かつて、若い処女の血液には若返りの効能があると信じられていた時代があったのだとか…(?)
基本は赤ワインから感じることのある香りで、鉄分のようなニュアンスを感じるそう。
もうここまでくると全く想像がつきません(コラ
番外編:不健全なワインからするにおい
さて、ここまでおおよそ飲み物からしていい香りではない香りを色々紹介しましたが、これらはあくまでも健全なワインからする、奥深さや唯一無二感に繋がる香りです。
ワインの香りを沢山知っておくメリットには、ワインの香りを色々感じ取れるようにするというのも勿論あります。
しかしもう一つの大きなメリットに、欠陥ワインを見抜けるというものがあります。
汚染されたコルクの使用や設備の汚染が原因で、ワインが汚染されてしまうことが稀にあります。
これをブショネといい、湿った段ボールや雑巾のような臭いがするします。
幸いにも僕はブショネに当たったことはありませんが、ブショネの中にも、ほとんど気にならないものからキツキツのものまであるそうです。
知っておくだけで広がるワインの世界
今回はワインの香りについてたっぷり語りました。
完熟ベリーや蜜のように「あ、素敵な香り♥」なものから、なめし皮やぺトロール香に腐葉土といった得も言われぬ香りまで、ワインはその育ち方次第で実に様々な顔を見せてくれます。
「腐葉土の香りとか煙草の香りなんて、それほんとに美味しいの??」と疑問に思うかもしれません。
ただこれに関しては、「そういう香りがする」と前もって知っておくかどうかで感じ方が全然変わってきます。
「このワインは腐葉土の香りがする(かもしれない)」と心づもりしておくだけで、腐葉土の香りがなんとも趣深く、魅力的な香りに思えるから不思議です…!
ワインからする香りを掴めるようにするには香りそのものを覚えること。フルーツやスパイスを買って匂いを嗅ぐ、植物園や森に行くなどして実際に経験するのがベストです。
しかし、今回お話したように知識があるだけでもワインの香りに対する捉え方が変わり、興味の幅まで広げてくれます。
腐葉土や皮の香りを良い香りと思えるようになったら…
ようこそこちら側の世界へ←
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回お会いするまで、良いワインライフを!
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