【ケイネズ・ワイナリーを飲みながら】ピノ・ノワールについて語る【高貴品種】
ワインの沼からごきげんよう、ユキシバです。
久しぶりの投稿となってしまってすみません…
実は音楽の方で大きなイベントに出店するべく、死線を潜っておりました。
🥂祝!M3春2022無事終了!!🥂
4月24日にM3という音楽系即売会イベントに出店しておりました。
M3に合わせてミニ(ではない)アルバムを作っていたので、今回ばかりは本当に多忙を究めました…
結果や売り上げ云々もどうでもよくはありませんが、それ以上に「これ以上は無理か…?」と思われた道のりを走り切ったことは素直に嬉しいです。
何はともあれ、これでようやくまたワインブログも再開できます…!
(ご来場された皆さん、ありがとうございました🌹)
そんな長い戦いから解放された自分を癒すために買っておいた特別なワインがこちら🍷
ケイネズ・ワイナリー・デムスヴィンヤード・ピノ・ノワール2012
生産者:ケイネズ・ワイナリー
産地:アメリカ・カリフォルニア
品種:ピノ・ノワール
アルコール度数:13.5%
価格:8500円
甘口じゃなくてこの価格帯のものは滅多に飲みません。まさに気合いを入れて飲む一本…
このワインの何が凄いって、いやまぁ色々あるのですがまず経歴が凄い笑
初ヴィンテージにして「年間最優秀カリフォルニア・ピノ・ノワール」に選ばれるなど、デビュー直後からもうアメリカで「このピノ・ノワールが凄い!」的な話題をかっさらったワインなのです。
にもかかわらず、開業からわずか6年で生産終了…
日本に出回る本数は非常に少なくなっております。
誰もが知っている有名ワインかといわれると、特に日本ではある程度沼にはまり込んだワインの民でないと知らないかもしれませんが、カリフォルニアワインの世界では伝説的な存在となっているのだそう。
では早速一口いただいて…
とその前に。
せっかく特別なタイミングで特別なワインを飲むので、今回はワインの知識が深まる解説も交えてお話ししたいと思います。
というのも、僕はワインにはまり始めてからというものの重口の濃い赤ワインをひいきしてきたので、ピノ・ノワールや白ワインのように軽やかで繊細なワインに対する経験値が圧倒的に足りません。
生きているうちになるべく色んなワインを知りたいので、今年はピノ・ノワールをはじめ、繊細なワインの経験値も積んでいきたいと思います!
というわけで、せっかくの機会なので、今回は僕の学んだ知識の定着の狙いも兼ねて、「ピノ・ノワールってどんなブドウどんなワインが出来るの?」といった点について解説していきます。
(そんな知っとるわ!!ピノオタなめんなよ!!という方は後半から読んでくださいな  ̄▽ ̄)
ピノ・ノワールについて
①産地・栽培
ピノ・ノワールの銘醸地といえば何といってもフランス・ブルゴーニュ。
パリから近いので、意外と観光しやすかったり…?
その他ドイツやイタリア、チリ、アメリカ、近年は南アフリカや日本でも栽培されています。
暑いのNG!虫・病気との共演NG!土壌などの環境にも色々と好みがあり、畑や生産者のスタイルによって仕上がりが大きく変わるのだとか。
「あれ?南アフリカやチリでも育つなら暑いの平気なんじゃないの??」
と思う方もいるかもしれませんが、南アフリカやチリは意外と涼しい地域もあるのですよ。(南極に近いですもんね!)
ケイネズ・ワイナリーの畑がある場所も海から近い谷底に位置しているおかげで、冷たい海風や霧があります。
カリフォルニアも夏あっついイメージがありますが、ちゃんとピノ・ノワールのお気に召す気候の土地を慎重に選んで栽培されているわけです。
②味わい
そんな色々と面倒くさいピノ・ノワールですが(失礼)、手間がかかる分、上質なものは本当に上質なワインになります。
ワインを飲まない人でも名前くらいは聞いたことのある「ロマネコンティ」。
新車と同じくらいの値段がするロマネコンティは、ピノ・ノワール100%です。
多くのワインファンが「一生に一度は飲みたい!」と憧れる最上級ワインにも化けるピノ・ノワールは、繊細で華やかな香りと味わいが特徴です。
パワフルで重口・甘やかな果実とスパイス香が特徴のカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローとは対照的に、慎み深くも気高い綺麗な酸味と、薔薇やブーケのような香りのピノ・ノワール。
上質なブルゴーニュ・ピノ・ノワール(ブルピノ)に巡り合ったら、思わずかしこまっちゃいそうです(ブルピノ未経験者が通りますよっと)
果実味が強くフレンドリーなワインも多く出回る中、繊細で酸味が特徴的なピノ・ノワールは、あまり初心者向けとは言えないかもしれません。
ワインはそもそも大人の飲み物ですが、ピノ・ノワールは更にその中でも「大人の味わい」と言える存在。
ピノ・ノワールの良さがわかるようになったらいよいよワイン沼の深淵の始まりかもしれませんね…。
ちなみにピノ・ノワールのピノ(Pinot)はフランス語で松・松ぼっくり、ノワール(Noir)は黒を意味します。
松ぼっくりのように実る様からからこう名付けられたのだとか。
フランス・ブルゴーニュではこのように繊細で高貴な印象の味になりやすいピノ・ノワールですが、育つ場所が変われば味の印象も大きく変わります。
アメリカやチリでは、フランスと違ってよりフレンドリーに、ジャムのように濃縮した果実味が前面に出たワインになる傾向があります。
国によっても、畑によっても印象の変わるピノ・ノワールは、テロワールを表現するのに向いたブドウといえます。
「テロワールってなんじゃいそりゃ??」
長くなりそうなのでまた別の時に解説してみます…笑
ブルゴーニュ愛好家が作るカリフォルニア・ピノ・ノワール
ではでは、ここまでのお話を踏まえてケイネズ・ワイナリーを一口…
色は落ち着きのあるガーネット。透明感があって宝石のよう。
グラスに鼻を近づけると…
なんだこれ!旨い!!
ケーキに乗ってるような甘くないイチゴやラズベリーのようなツン、とした香りに混じって、料理のような「旨味の香り」が…!
肉料理を目の前にしたときのような、唾液腺を刺激する香り。
肉要素ゼロの液体からそんな香りがするなんて、ミステリアスですよね…!
では一口…
この酸味は……!
酸味と一口に言っても、色んな酸味がありますよね。
お酢の酸味とレモンやライムの酸味、イチゴの酸味…それぞれ味わいも、思い浮かべるものも全く違うはずです。
それはワインでも同じ。
キレのあるフレッシュな酸味もあれば、凜としてしg...ごほん。凛として綺麗な酸味もあります。
(もともと酸味に苦手意識のある僕はまだあまり自分の舌で確かめられてないんですよね…)
そんな中、このピノ・ノワールの酸味はこう、気高さを感じる酸味。
ブルピノはこのようにエレガントで上品な酸味で世のワインオタクを夢中にしているのだそう。
というのも、ケイネズ・ワイナリーのオーナーはブルピノ愛好家で、アメリカにいながらもブルピノを非常に意識したワイン生産をしているそう。
しかし、ケイネズ・ワイナリーの面白いところは、ブルピノらしさとカリピノ(カリフォルニアのピノ・ノワール)の両方の個性が混ざり合っているところです。
しゃんとした、物静かで高貴なイメージの浮かぶ酸味。でもその背後にはチェリーのコンポートのようにパッと明るい甘味がします。
あまり感情を表に出さず、いつも上品でクール。それ故に周囲からは孤高の人みたいに思われているけど、実は楽しいことや面白いことが大好きで、ふとした時に見せる笑顔がかわいくて…
みたいな人物像が浮かびます。(何言ってんだこいつ)
このワインとの出会いは、フィラディスというショップから届いたメルマガ。
ソムリエのコメントには「カリピノらしさとブルピノらしさが詰まった、(ピノ・ノワール愛好家にとって)夢のようなワイン」といったコメントがありました。
なんてことは実際にはなく、ブルピノにもカリピノにもそれぞれ魅力があってファンがいます。
ブルピノの良さとカリピノの良さが一本に凝縮されたようなワインがあればなぁ!というのはピノオタ人情というもの。(?)
僕はブルピノ未経験ですが(早く飲めよ!!)、それでもソムリエの言わんとしていることは理解できました。
気品と親しみやすさ。美麗さと愛らしさ。そんな心が温まるような二面性のあるワインだと思います。
値段も張るしデリケートな味わいなので、普通の週末に夕飯で飲むというよりは、特別な日に単体で楽しむのが良いかもしれませんね。
何かをやり遂げた時、夕飯の後で部屋を少し暗くして、暖かい照明で演出しながらゆっくり飲む。
たまにはそんな気合いを入れた飲み方が出来るのもワインの醍醐味ですね🍷
ただもう作られることのない希少なワイン。フィラディスでは売り出してかなり早い段階で在庫切れ…これはもうおすすめは出来ないか。
と思いきや。
まだ他のショップで売ってた!!!
しかも自分が買った時より安い!!!!ww
カリフォルニアの地に彗星のごとく現れて、即座に話題をかっさらった生産者。本場ブルゴーニュの評論家も一目置くワイン。
ちょっと気になるなぁ…という人は、お迎えできるうちにお迎えしてあげてください🍷
ピノ・ノワール入門におすすめのワイン2選
ところで皆さん、ワインは大体1本いくらくらいものを中心に飲んでいますか?
産地と味の好みによっては、昨今では1000円を切る値段でも美味しいワインに出会うことができます。
が、ことピノ・ノワール(特にフランス・ブルゴーニュ)については、「5000円は出さないと美味しいものには出会えない」なんて言われることも。
「それは大袈裟じゃね?」と個人的には思いますが、でも確かに1000円を切るブルピノはかな~りレアキャラです。(いや、あるのか?)
少なくともコンビニでブルピノはまず置いてませんよね。
ケイネズ・ワイナリーも7~8000円くらいするし、もう新たに作られない分よりプレミアがついたりするかも…?
「そんなに出せるか!!!(;ಠ益ಠ;)」
仰る通り。それが一般的な金銭感覚です。(自戒)
「5000円は無理だけどピノ・ノワールは飲んでみたい!」
あるいは「赤ワイン飲んでみたいけど渋味が苦手!」
という方にお勧めしたいのが、ブルゴーニュ以外のピノ・ノワールです。
最初の方で触れたとおり、ピノ・ノワールは意外と色んな国で栽培されています。
が、ブルゴーニュが飛びぬけて有名ブランド産地となっている反面、それ以外の産地を探せば意外と安価で飲めるピノ・ノワールもあります。
ここからは、なるべく安い値段からピノ・ノワールに入門したい方にぴったりで、かつ僕も飲んだことがあって美味しかったおすすめのワインを2本紹介します。
①トータス・クリーク・ピノ・ノワール
アメリカのピノ・ノワールといえば、ジャムのようにとろ~っと溢れるような果実味。酸味も渋味も穏やかで甘味の主張が強く、初心者でもとても飲みやすくなっています。
実はトータス・クリーク、僕が初めて飲んだピノ・ノワールなのです。
それまで「ピノ・ノワール=軽くて酸っぱい」という失礼極まりない偏見がありました。
トータス・クリークのピノはそんなイメージをもあま~く拭い去ってくれる、そんなワインです。
②ワイン・イン・フレイム・ピノ・ノワール
ルーマニアのワインを飲む機会なんてそうそうないですよね。
でも実はルーマニアもワイン生産においてはかなり古い歴史がある国の一つです。
先日ルーマニアのワイン6本セットなるものをポチってしまったので、そのうちルーマニアワインについても紹介したいと思います!
さてこちらのワイン・イン・フレイムの味わいはというと、トータス・クリークに比べてよりフランスに近いと言いますか、エレガントで華奢、シュッとした酸味が印象的です。
しかしそれでいて複雑ではなく親しみやすい。
僕が飲んだ時は、ケーキに乗ってるあまり甘くないイチゴ、そしてパフェとかによく乗ってるあのチェリーみたいな風味が印象的でした。
いつかブルピノを飲んでみたい!という方におすすめです。
ピノ・ノワールの美学
いかがでしたでしょうか。
久しぶりの投稿ということもあり力加減がわからず、気合いの入った文量になってしまいました(;´∀`)
元々フルボディの赤ワインに強い憧れがあり、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラー・メルローをひいきしてきたので(今でもしてる)、冒険と勉強の意味も込めてピノ・ノワールに手を出し始めた時に出会った貴重な一本。
改めて感じるのは、いかにワインの世界が広いかということです。
同じ尺度では測れない魅力というか、ブドウ品種・産地それぞれに美学があるのだと感じます。
濃いワインのそれとは違う、「ピノ・ノワールの美学」の一端に触れさせてくれた一本。
あの時衝動買いしてよかった…!
(※衝動買いはほどほどに)
最後まで読んで頂きありがとうございます。
また次回お会いするまで、良いワインライフを!