【お花見ワイン】桜を愛でながら飲む完熟ベリーの濃厚赤・ファン・ヒル【推しワイナリー紹介】
ワインの沼からごきげんよう、ユキシバです。
気付けばもうする4月ですね。
今冬は真っ白な宝物を大量サービスしてもらったおかげで、まだ僕の住んでいる地域には雪が残っています。
が、場所によってはぼちぼち桜も咲き始めているみたいですね。
外の世界は未だ落ち着く気配がないですね。
こうしている間にも、違う国では多くの人が理不尽に苦しんでいます。
ただ、だからといって僕らまで一緒に苦しむ必要はありません。
苦しむ誰かのために少しでも役に立つことは大切です。
でも、そのために余計に神経を張り詰めて、自分の心がすり減らすべきではありません。
心のすり減った人は攻撃しても許されそうな人を見つけて攻撃し、そこに新たな争いの種がまかれるからです。
どんなに困難な年でも、桜は変わらず綺麗に咲いてくれます。
心をストレスでパンパンにするくらいなら、短いこの季節ぐらいは桜の前に足を止めて、穏やかなひと時を過ごした方が、お互い優しくなれると思います。
心がイガイガしそうな時には呑気に桜を愛で、春の風をたっぷり吸い込む。
部屋の換気ばっかりじゃなくて、心の換気も大切ですよ。
ちなみに北国に住む僕にとって、春は一瞬しかない貴重な季節です。4月まで普通に雪が残っているので、桜の見ごろはGWあたりのごく短い期間のみ…。
北国の民にとって満開の桜を愛でるのはとても貴重な機会なのです。
さて、日本人にとって馴染み深い桜ですが、そんな桜の季節にぴったりなワインがあることをご存じですか?
しかも日本ではなく、日本から飛行機で 時間もかかる異国の地・スペインに!
ウキウキする季節。どんちゃん騒ぎも楽しいけど、こういう時期くらいは風情を大事に。ワインを片手に少しお洒落なお花見なんていかがでしょうか?
桜がトレードマークのワイナリー・ファン・ヒル
「いやいや!このご時世に花見なんて何考えてるんだ!ギャーギャー!」
どうぞご安心を。
桜ならここに咲いているではありませんか。
堂々と花を咲かせる美しい桜が描かれたこのワイン。実はスペインの生産者、ファン・ヒルが作っているのです。
スペインで作られている割には随分しっかり日本らしい桜の絵ですよね…!
黄金の紙に鮮やかな桜というところがまるで金屏風みたいで、とても日本らしい色使いだと感じました。
ファン・ヒルは、スペインのフミーリャという地域ではダントツ人気の生産者です。
フミーリャはスペインの南東部、地中海に面した県の内陸側に位置するワイン生産地です。
その気候はとても厳しく、夏は約40度、冬は氷点下を記録することもあります。
また空気は乾燥しており、土地は石灰質で石がゴロゴロ転がっている痩せた土壌。
そんな人間にとっても葡萄にとっても過酷な環境で栽培されるから、おのずと一本の樹になる果実は少なくなります。
「いやいやそんな環境じゃ美味しいブドウ出来なくないか?」
と思われるかもしれませんが、実はそれが良いんです。
栄養も水も豊富な土地で育てると、果実が沢山実るかわりに、一粒当たりの栄養が少なく、ワインにはあまり適さない薄味の葡萄になってしまいます。
一方フミーリャのような過酷な環境では、収穫量が少なく全体的に小粒になる代わりに、一粒一粒に栄養が凝縮された濃い味の葡萄になってくれます。
その結果、フミーリャでは香りも味わいもリッチなフルボディのワインが作られるのです。
また、フミーリャの環境は人間と葡萄だけでなく病害菌にも厳しいので、病害が少ないという条件を活かしたファン・ヒルでは減農薬にも取り組んでいます。
「そんなスペイン・フミーリャで何故に桜??」というところですが、これはファン・ヒルのオーナー・ミゲルさんがワシントンで見た桜並木の美しさに心を奪われたことに由来しているのだそう。
しかも、ファン・ヒルの畑がある丘の名前が「桜」を意味する「Cerezo」だったという偶然…
そんなこともあり、ミゲルさんにとって桜は特別な存在なのだそうです。
ファン・ヒルでは千円台のエントリーラベルから5000円クラスのプレミアムワインまで幅広く展開されていますが、なかでも是非押さえたいのが写真にもある「サクラ・ラベル」です。
こちら、なんと日本限定のラベルなんです!
ファン・ヒルを愛する日本人のファン、そしてこれからワインに出会う日本人への感謝の気持ちなのだとか。粋なことするなぁ…
ちなみに僕が初めてファン・ヒルを買った時、
「せっかくだから2種類くらい買って飲み比べたろ(゜レ゜)」と思ってこちらの二本を買いました。
そして注文して数分後に気付いたのですが…
これ、中身一緒だったんですね/(^o^)\
正式な名前は「ファン・ヒル・クアトロメセス」。
左が普通の普通のクアトロメセスで、右が限定ラベルのクアトロメセス。
僕と同じく、気付かずに両方買っちゃった人もいるみたいで…
でもまぁ、美味しかったからよし!!笑
しかし、見比べてみるとやっぱりサクラ・ラベルの方が美しくて、より一層美味しく感じますね。
ラベルは大事!笑
さて味わいですが、一言でいうなら
「しっかり濃くてうっとり甘い」ワインです。
とろっとろに煮詰められた黒系果実やイチゴの味わい。
グラスに鼻を近づけた瞬間、その濃密な香りに圧倒されます。
まずは買ったお店のソムリエさんがおすすめしていた通り、少し温度低めで一口。
果実味のほかにミントのようなスーッと抜ける感じや、土を思わせる複雑味、そしてややきつめの渋味が、果実の甘味を引き締めているように感じました。
ややきつめというかまぁまぁきつめに感じましたね、渋み笑
多分大人な味がお好きなソムリエさんなんだね!(?)
ですが個人的にはファン・ヒル、一般的な飲み頃の温度(18度くらい)になってからが本気だと感じました。
渋味はまろやかになり、複雑さの要素になるミントや土の主張は穏やかに、濃密の極みとなった完熟ベリーの味わいが前面に出てきます。
甘口ワインじゃないのになぜか甘いんですよ…!
デザートワインのようなスイーツとしての甘味とは違った、ソースで煮込んだ肉にも通じる甘味といいますか。
そんなファン・ヒルですが、しっかり濃くて骨格があるワインなので、旨味の濃い料理(特に肉料理)に合います。
たまたまその時、我が家ではトマトすき焼き鍋という欲望のカオスみたいな料理を錬成してました。
作り方は簡単!味付けのベースはすき焼き、具材は鍋(牡蠣入り♥)、そしてそこにトマトをぶっこみます笑
この旨味の大渋滞みたいな料理とファン・ヒルがびっくりする程合ったんですよ…
一緒に口に含んだ瞬間、コーヒーのような心地よい香ばしさが現れて、もう思わず声に出すほど感動しました…
18度くらいで飲んでいればワイン単体でも飲みやすくはあるのですが、料理と合わせることで化ける子だなぁという印象でした。
『神の雫』でも登場!シルバーラベル
さてさて、そんなファン・ヒルのワインで最も人気を集めているのが、クアトロメセスより1ランク上のラベル・シルバーラベルです。
サクラ・ラベルとは打って変わって、わびさびを感じるラベルですね。
まるで厳しい冬を耐え忍ぶかのようです。
こちらのシルバーラベルも2000円台で買えるのですが、世界的に著名なワイン評論家・ロバート・パーカーも「5倍の値段の一流ボルドーにも引けを取らない!」と絶賛しています。
また、亀梨和也さん主演でドラマ化したこともある人気ワイン漫画『神の雫』のコラムで紹介されたこともあります。
ちなみに『神の雫』は、
🍷有名・無名問わず、実在するワインが多数登場する
🍷ワインの味に関して、型に囚われず、想像力豊かでユニークな表現をすること
🍷ワインのチョイスや味の表現は、本場フランスでも好評
ということで、ワインファンは勿論、ワイン市場においても非常に影響力がある作品なのです。
それはもう、神の雫で紹介されたことがきっかけで無名から一躍世界に名をとどろかせることもあるくらい。
そんな『神の雫』のコラムでシルバーラベルの名前が登場した時は、”口の肥えた日本のボルドー好きにお薦めなのが『フアン・ヒル』。ボルドーのボディとブルゴーニュの香りがある。"と評されています。
「口の肥えた日本のボルドー好き」なんていうと、何だか初心者には飲みづらそうなワインのような気がしてきませんか?
ですが、実際飲んでみた感想としては、寧ろ初心者が素直に美味しい!と思える味わいだと感じました。
シルバーラベルもサクララベル同様しっかり重口。
それでいてサクララベルよりも更にバランスが良く、単体でもスルスル飲めるくらい飲みやすいです。
なので、「ワインはあんまり飲んでないけど、なんとなく濃いワインの方が興味あるな~」という方にぜひ試してほしい一本です。
僕自身、最初の頃は「初心者だけど多分どっちかというと自分は濃い方が好きだろうなぁ」となんとなく思っていました。
シルバーラベルは、そういう人が飲んで「うおおおおうめぇ!!これだよこれ!!」となるようなワインじゃないかなと思います。
スペインが誇る果実味爆弾・ファン・ヒル
実はファン・ヒル、僕にとっては数あるワイナリーの中でも最推しのワイナリーの一つなのです。
ファン・ヒルでは赤白合わせて6種類ほど作っていますが、そのうち4種類飲んでいます。(ペドレラ、クアトロメセス、シルバーラベル、ロザリオ・ヴェーラ)
振り返ってみると、一つのワイナリーでここまでの種類を飲み比べたことってほぼ無いんですね笑
4種類飲んできて思うのが、ファン・ヒルは全体的に果実味爆弾です。笑
グラスに注ぐワインは大体130ml程度とされていますが、その量からは信じられないほどの果実の香りが立ち上ってきます。
口に含めば、凝縮されていた果実味が爆発。一気に口から鼻奥、脳天まで広がります。
ファン・ヒルの場合はとにかく完熟していて、その上ただでさえ完熟して甘くなったそれらを、水を一切加えずとろっとろの液体になるまで煮詰めたような印象です。
太陽がさんさんと照らす暖かい気候を思わせる、甘美でもあり情熱的でもある果実味。
初心者が濃いワインに挑戦したい時、お花見のようなパーティ気分で飲みたい時に活躍してくれるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回お会いする日まで良いワインライフを!