【ついに飲めた】カロン・セギュールについて語らせてください【愛のワイン】
ワインの沼からごきげんよう、ユキシバです🍷
今回は推しワイナリー(シャトー)紹介です!
ワインの味わいは、そのワイン自体のブドウ品種や製法、熟成度合いなどで決まります。
ですがワインを飲む時間の質はどうでしょう?
その産地の気候や文化と歴史、そして生産者が持つストーリーや人柄なんかを知れば、ワインから得られる満足感は何倍にもなります。
寧ろ「どうやって作られたか」まで含めてワインの味わいだと思っています。
さて、僕は普段1000円~3000円台のワインを中心に攻めています。
が、時には「これは運命なのだ!!(錯乱)」とか「えぇい!!(ヤケ)」とかいって高級ワインをお迎えしてしまうことも(ごく稀ですが)あるわけです。
今回はそんな風にして運命の出会いを果たしてしまったワインを紹介したいと思います。
「そんな高級ワインなんか紹介して誰のためになるんだ!?!?」とも思いました。
しかしストーリーを知って、実際に飲んて本当に特別な思い出になりました。
そうなった以上、紹介しないわけにはいきません…!(ただ推したいだけ)
愛のワイン・シャトー・カロンセギュール
ハートのラベルで有名なシャトー・カロンセギュール。
味のうんぬん以上にシャトーのストーリーが気に入って、いつか飲んでみたい!と思っていたのです…!
シャトー・カロンセギュールの歴史は古く、12世紀にはこの土地でワインを作っていた記録が残っています。(日本だと鎌倉幕府が出来たあたりですね)
もともとはシャトー・カロンという名前でした。
ちなみにボルドーのメドック地区・サンテステフ村に位置しますが、カロンはサンテステフ村最古の葡萄畑の一つとなっています。
1670年、当時シャトー・カロンの所有者だったガスク家の娘・ジャンヌがジャック・ド・セギュールと結婚し、シャトー・カロンセギュールと名を改めます。
その息子・アレクサンドル・ド・セギュール侯爵はボルドーの5大シャトーに数えられるシャトー・ラフィット、シャトー・ラトゥールを手に入れます。
更にその息子の二コラ=アレクサンドル・ド・セギュール侯爵はそれらをすべて引き継いだうえで『格付けチェック』によく出る一流ワインとしてもお馴染みのシャトー・ムートンも手に入れ、ルイ15世からは「葡萄畑の王子」の異名を取るに至ります。
ただ、セギュール侯爵の「葡萄畑の王子」たるゆえんは畑の多さだけではありません。
セギュール侯爵はシャトー・カロンセギュールの運営にも全力を注ぎ、宮廷でもよく供されていたそう。
そして1855年には『メドック格付け』3級に名を連ねるまでにその品質と評価を高めていきます。
そんなセギュール侯爵が残した言葉はあまりに有名です。
「我、ラフィットやラトゥールを作りしが、わが心カロンにあり」
『メドック格付け』においてカロンセギュールは3級。対するラトゥールやラフィットは1級。
超々一流のシャトーを手掛けても尚、セギュール侯爵にとって一番特別なのはカロンの畑。
それは生まれた時からあった畑だからなのか、祖母の嫁入り道具だったからなのか、はたまた何か別な思い出があったからなのかはわかりません。
けど、セギュール侯爵をしてそう言わしめるその気持ちは、きっと言葉で簡単に説明できるものではないのでしょう。
そんなセギュール侯爵の実績を讃えると共に、彼の精神は20世紀初頭からカロンセギュールのラベルあしらわれたハートに象徴されています。
このハートは初めてラベルが貼られた時からずっと変わらないデザインだそうです。
5大シャトーに迫る人気と安定して高い品質
シャトー・カロンセギュールはメドック格付け3級でありながら、常に安定して品質が高いことから、3級シャトーの中でも特に人気です。
特に近年ではメドック格付け1級、いわゆる5大シャトーにも負けず劣らずの高評価を得ています!
またよく言われる特徴として、「クラシカルなボルドーの味」を貫いているという点が挙げられます。
ワインの世界にも流行り廃りがあり、歴史あるボルドーの一流シャトーといえど時代の流れを無視はできません。
しかし、カロンセギュールはそんななかでも昔ながらのボルドーらしいスタイルを貫いてるのだそうです。
クラシカルなボルドーってどんなん??
それは飲んでいかないとわかりません←
40年の眠りから醒めたカロンセギュール
そして僕がお迎えしたカロンセギュールがこちら…
シャトー・カロンセギュール1979
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネフラン
価格:50000円
僕が飲んだことがある全ワインの中で2番目に古い43年熟成。
ところどころよれたラベルがその時の長さを物語っています…
カロンセギュールは高級ワインにしては珍しく、マニアのみならず初心者にも人気のあるワイン。
ラベルが可愛いものだから、記念日に飲もうor彼女にプレゼントしよう!なんて考える頭のとろけた殿方がいらっしゃるようで。
①「今年の記念日どうするかな~、せや!ハートのラベルで可愛いワインプレゼントしたろ!」
②「新しいやつの方が安いし新しいのでええやろ!」
③「しぶ~~~~~~~~~~/(^q^)\」
はいここまでがセットです(?)
そんなこんなで新しいヴィンテージからどんどん売れていってしまうのもあり、今回のように40年も寝かせているものはかなりレアになってきます。
たまたまフィラディスというショップで発見し、しかもその時ラスト1本…!
「これを逃したらもうどこでも手に入らなくなる!!」
僕に迷いはありませんでした(少しは迷え)
ところで古いワインは抜栓にも気を抜けません。
少しの油断がコルクを粉砕、塊がワインにポチャン…⚠
そうならないように、まずはキャップシールを全部剥がして、コルクの状態を見ます。
な ん こ れ w w w (本音)
勿論コルク不良ではありません。
何十年も経つとワインも染み込むし、湿度の影響でカビも生えます。ワインの熟成に適した環境とカビが繁殖しやすい環境は割と近いので、コルクの上部にカビが生えてたら、ワイン的には保管状態が良い証拠なんですね🍷
ただ僕もまだまだワイン2年生。こんな色のコルクは初めて見ました…
これ…本当に開けられるか…?
一応ソムリエナイフのほかに、古いワインの抜栓用にプロング式のオープナーも用意してはおいたんです。
ヴィンテージもののワインの抜栓方法は結構しっかりめに予習はしていました。
ソムリエナイフとプロング式の両方を使う秘奥義・二個使いなども知ってはいたものの、
「慎重にやればソムリエナイフ1本でいけるのでは…?」
と思い、結局一刀流にていざ尋常に。
結果↓
☆BO☆RO☆N☆CHO☆
これが43年の時の重さに耐えたコルクの姿です。
底の方なんてワインが染みまくって真っ黒…
日本がバブルの時も、世紀末で何か世間が不思議な雰囲気だった時も、ずっと暗く静かな場所で眠っていたカロンセギュール。
よれたラベルとボロボロのコルクがその時間の長さを物語ります。
しかしながら肝心の中身は…
あら意外と赤い!!笑
40年も経ってるしもっと赤茶けてるのを想像してたんですが、思ったより赤みが綺麗にあります。
香りは…
おぉぉぉ皮!!笑
レザーの香りがはっきりと。果実の香りよりもレザー!皮!っていう印象です。
温度が上がってくるとだんだんそこに熟した赤・黒系ベリーの香りが混ざってきて、贅沢な香りになります。
ご神体に触れるような厳かな気持ちでひと口含むと…
これがまた以外に若い…!!!
ワインは熟成を経ることでタンニン(渋味成分)や酸味成分が消費されていきます。
だから最初は渋味が強くて硬い味わいのワインでも、寝かせることで程よくまろやかになるんですね。
いわゆる「長期熟成に耐えられるワイン」とはこれらが豊富でパワフルなワインのことを指します。
特に格付けシャトーの人気ワインともなると、10~20年は寝かせないともう暴れ馬のような渋味にやられてしまうと聞いたことがあります!笑
逆に長期熟成に向かないワインを無理に寝かせ続けると、渋みも果実味もみんなすっぽ抜けていっちゃうのだとか。もったいなくて試す勇気がないですね…
(余談ですがタンニンはポリフェノールの一種です)
とはいえ…43年ですよ!?
そんなに寝かせたらなんぼなんでもタンニンだって使い切っちゃって、いくらカロンセギュールでもピークを過ぎてるかもしれないと思ってました。
けどとんでもない。
寧ろ79年のカロンセギュール、タンニンも酸味もまだまだ健在で力強さを十分に感じさせてくれました。
乾燥させたカシスのような(そんなものが実在するのかは知らんが)果実味と、コーヒーや木の風味。それらを下支えする、骨太さを感じさせる渋味。
僕の感想では、過去に20年ほど熟成させたボルドーワインにも近い感じがしました。
きっと「クラシカルなボルドーらしい味」とはこれらのように、甘やかさを前面に出さない、長く熟成させることで生み出す「かっこいい味わい」のことを言うのでしょう。
けど43年も寝かせているのに20年弱熟成のワインに並ぶほどの力強さが残ってるとは流石カロンセギュールというか、リア充ワイン初心者泣かせというか(?)、一体どれだけの凝縮感…!?と思わずにいられません。
「40年経ってこれ!?!?」と。
もしかしたらあと10年くらい寝かせられるんじゃないか??と思うような、老いを感じさせない力強さに感動しました。
カロンセギュールはきっと「老い」という概念が無い世界線で生きているのでしょう…
何十年と寝かせても老いぼれることなく、ただ深化と成熟があるだけ。
コルクとラベルだけが、ワインが耐えた歴史の重さを如実に物語る。
ちなみにこの日は近くにあったローソンの炭火焼きチャーシューとペアリングしてみました。(価格差にして100倍以上…←)
しかし良きマリアージュでした🍷
かっこいい・男前な味わいのワインにはビーフシチューのような煮込み料理より、シンプルに焼いた肉料理の方が合うイメージです🍖
一流シャトーといえど、浮き沈みはあります。
あとで調べて知った話ですが、カロンセギュールは60~70年台に一度不振を経験しているらしく、この時期のワインは味の酸化が見られるため購入は見送るべきという見解なのだとか笑
……おっと???笑
まぁ本当のプロや評論家からするとそういう評価らしいんです。
ただし、だからといって「買うやつミスったわ/(^o^)\」なんて思ってませんよ!笑
ワインも年によって出来不出来はありますが、あくまでも一つの指標。
オフヴィンテージ(不出来と言われる年)はオフヴィンテージなりの個性があるのがワインだと、僕の尊敬するソムリエさんも言ってました。
何より、この時僕はワインの味だけでなく、ワインが歩んで来た時間、シャトー・カロンセギュールが歩んで来た物語、そして想像に過ぎませんがセギュール侯爵の想いも一緒に味わったのです。
だからワインと過ごしたひと時が特別な思い出なのは変わらないし、寧ろ「え、低迷期であんだけ凄いの!?!?」と余計に興奮しました🍷。
もし僕がこれから上等なワインを飲み込むようになって、先述のような「プロの見解」が理解できるようになったとしても、こういう感覚はずっと持っていたいものです。
ちなみにカロンセギュールは1982年や2000年、近年だと2018年もあほほど出来が良かったらしく、今度は本気のカロンセギュールもいつか飲んでみたい…!という新たな目標(?)も出来ました笑
ユキシバの財布「ええ加減せえよ(半ギレ)」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回お会いするまで、良いワインライフを!